私は小学校に入ったときから20歳くらいまでピアノを習っていました。その発表会であるとき、自閉症の男の子と出会いました。その男の子の話を書こうと思います。
目次
1.どこから見ても分かる「自閉症」
私は初めてその男の子と会ったとき、高校生くらいだったと思います。その時発表会は丸いテーブルで待機して舞台に上がって演奏するスタイルだった。同じ机に居た男の子は小学校の低学年、どこから見ても自閉症とわかる子でした。その子のお母さんとも話をしました。「絵を描かせると自閉症の子が書く、そういう絵を描くんですよ~」なんて明るく話してくれた。
2.とにかく落ち着きがない、リズムとかでなく、ずっと動いている
その時のことがあまりにも強烈で、頭に焼き付いています。舞台に上がる前もとにかく動き続けている。全身運動のように小刻みに動いていました。舞台の上では太鼓をたたいていました。リズムに合わせてではなくて、「たたきたいからたたいている。」そんな感じ。
私は最後に全員合唱の時にその子を見ていて。と先生に言われて。ずっと見ていましたが、同じ状況でした。見るからに意思疎通は難しそう。
3.何年も男の子はそんな感じで発表会に出ていた。
年に一度、発表会で会うその男の子。変わらずなイメージだったけど、私は大学に入り、しばらくしたらピアノに通えなくなった。いつしか自閉症の子がいたことも忘れていきました。
4.姪っ子が私の通っていたピアノ教室でレッスンを始める
実はそのピアノ教室は私がお願いして始めてもらったピアノ教室だった。マンションの隣の家の人がとてもピアノが上手で、お母さんにお願いした1年生の時の話。先生は国立音大の出身だった。とてもまじめで、お嬢さんたちもとっても優秀で、もうお嬢さんたちは社会人だけど、私は生まれた時から知っている。
なので、私たちの家族にとっては、絆の深いピアノ教室でもちろん姪っ子も通うのは普通だと思っていました。
5.姪っ子の発表会を見に行く
久しぶりのピアノの発表会。生徒さんが30人以上に増えた感じだった、本当に昔少人数で発表会をやっていたころが懐かしい。ホールを借りてしっかりとコンサート形式で運営されていた。
姪っ子のピアノを見に行くと、男の子も数人いた。その中で落ち着いた中学生くらいの男の子がピアノを弾く。思ったよりも上手じゃないけど、引いている途中私の記憶が蘇ってきた…
その子が「あの時の自閉症だった子」と気づく。私はにわかに信じられなくって、実母に「あの子、自閉症だった子?」と思わず聞きました。本当だった。大きくなったあの時の自閉症の子は1人で居ても自閉症とは分からないくらいに落ち着いてピアノを弾いていたのです。思わずその男の子のお母さんとピアノの先生のすごさに感動しました。
6.5年経ったくらいの今年の発表会
その男の子を見るのが楽しみになった私。姪っ子も見るけど、その男の子の演奏も楽しみにしています。
前回は中学生だっただろうか。今回は実母さん情報だと、ある会社で働きだしたそうで。それがどんな風に働きだしたのかは分からないけれど私の中の壁が1つ崩れた瞬間でした。ピアノも上手になり、立派に弾いていました。
自閉症だって社会に出ることができる、ピアノも弾けるようになる。その裏にはきっとその子のお母さんも色々と苦労しながら育て上げたのかもしれませんが、私の記憶の中で自閉症だった男の子がピアノをしっかりと弾いて大人になった姿を見ることができたこと。これは本当に素敵なストーリーだなーと。勇気をもらいました。
何かで悩んでいるお母さんには、努力していれば時が解決してくれることもあるということを伝えたいと思いました。
立派に育った男の子を見ながら感動の涙がこみあげてきて、隠しながら歩きました。
今はピアノ教室は生徒数が50人くらいいて「上手にピアノを弾く子がいっぱいいる教室」ということで有名なんだそう。
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